鉄道模型工作実験室

Nゲージ鉄道模型に関する工作や実験を行っています。

危ない! モータドライバが過熱する

コアレスモータ搭載車にも対応したマイコン式運転操作台を作って楽しんでいました。ミニレイアウトでも走行可能と言うことで、KATO製の「アルプスの氷河特急」を入手して走らせていました。すると、走行途中に電車が突然停止し、暫くするとまた走りだすのです。

 

不思議に思いないがらも走らせていましたが、待てよ!安全装置が働いている? と思って操作台の蓋を開けて、回路をチェックしました。見た目にはどこも異常はありませんでしたが、試しにモータドライバに指をふれると・・・・・アッチチーーー!
非接触式の温度計で測定してみると50℃以上もありました。過電流が流れてドライバの安全回路が作動したものと推測しましたが、何故なの?


アルプスの氷河特急の説明書をみると、パワーパック ハイパーDを使用する場合はライトユニットのコンデンサを撤去せよとのこと。そうだったのです。KATOは未だにPWM制御方式には未対応だったのです。否、TOMIXと違って、KATOは後方前照灯のチラツキ対策を優先させるのが設計方針と解釈しましょう。

 

上左がコンデンサの撤去前の状態で、上右が撤去後です。コンデンサ撤去後にテスターで容量を測定したら 1.0μFでした。セラミックコンデンサの特性を考えると、実質は0.2μF程度でしょうかね。


しかし、すんなりと工作した訳ではありません。コンデンサの撤去前後の様子を観察し、コンデンサの影響はどのくらいあるのか実験しました。

ドライバの発熱を抑えるために、なるべく電流が少ないと思われる条件を設定してその時のオシロ波形を観察しました。電流は、給電の戻り回路側に0.22Ωのシャント抵抗を挿入してその電圧降下量をオシロのCH2にて観察します。給電側はCH1に設定しています。

 

最初は、色々な条件で観察するつもりでしたが、最初に観察した上左のオシロ画面を見てビックリです。CH2の電圧降下量が 1000mVもある! 即ち、1000mV / 0.22Ω = 4.5A です。
ピークと言えども、こんな電流を流していると過熱するのも当然ですね。ドライバの表面温度はあっという間に60℃以上になっていました。
パラメータスタディをあきらめて、すぐにコンデンサを撤去した次第です。測定条件は全く同じ状態のコンデンサ撤去後のオシロ画面を上右に示します。全く綺麗な矩形波です。ドライバの温度は26℃前後(室温)のままでした。


なお、コンデンサを取り外す前に、パワーユニットを使って走行させて見た。

 

やはり、上右に示すパルス制御するユニットでは低速走行が出来ない事を確認した。
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たった0.2μFのコンデンサでこれだけの影響があるなんて、今更ながら思い知らされたのです。そして、説明書には、”本製品は海外製品の安全仕様に合わせるため”との記述にあるが、本当だろうか? 海外ではパルス式ユニットを使っていないのだろうか? 日本だけなの?などの疑問が沸き上がります。
 それなら日本仕様海外仕様と分けて発売して欲しいよね。ユーザーにハンダ工作を強要させる会社としての姿勢が許せない。
また、KATOではPWM方式のパワーパックを発売しているようですが、この製品には対応しているのかな? どんな工夫をしているのか知りたいものです。 


それにしても早く気が付いて、大事に至らなくてよかった。今後も要注意だ。

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